アメリカ研究生活4ヶ月の振り返り②

どうもこんにちは、かずにすた こと Kazuya です。前回の記事の続きいきます。ご一読、どうぞ。

 

10月編 ー募る不安ー

 

学内の輪が広がる一方で、メインの研究はなかなか最初から苦戦していた。毎日図書館にて論文にとにかく触れつつ、留学以前の学びから仮説を立ててそれを検証していくワークをとにかく重ねる。読む読む読む。こんなにも文字を読みまくった記憶は今までにほとんどない。留学に来て、そのような生活を送っていた。もちろん、留学に来て1番感じた課題は、「あ、俺英語に関して甘かったわ」ということだ。英語とそれ以外の言語を志している方へ。僕の経験からどちらもできるというよりは、どちらかが圧倒的にできるという状態を継続してほしい。なぜか、理由は2つある。

 

1つ目は、研究それも博士課程レベルかもしれないが、信頼関係が構築しにくい。僕は、論理明快な内容をサラッと喋るだけの英語力はまだ足りてない。発音はあまり大切ではないが、ネイティブ並みに喋れない場合、その内容の面白さが大切になる。その内容の面白さが足りない場合、聴く側は「この人が言っていること信頼していいのかしら」という状態になるらしい。

 

それで行くと僕は、聞く側が「おもしろい」と思える情報を発信する必要がある。ところが、いかんせんレポートに納得性・深みが低い。そこは自分も初めから感じていた。自分の指導教員も自身の研究に注力するのが当然のため、ななかなか時間をとって話す機会が与えられなかった。これは仕方がない。何せ自分の知識の蓄積・経験が圧倒的に不足しているのだから。向こうにとっては僕の思考・気づきが表面的な情報になってしまっていた。

 

何とか彼女に興味を持ってもらうよう、「クラブの歴史」「クラブと行政・教育機関の関係」の事実確認し、キーワードを絞って片っ端から論文を漁っていた。そこで述べられていたものから、リサーチギャップ(論文内で言及が不足している・疑問が残る・検討の余地が残る部分)を見つける。この学びをひたすら繰り返していた。日本人なめんなよー!!という気概で(笑)

 

そうしていくこと早くも10月の終わり。研究に加えて聴講生という立場でうけていたバスク研究科の講義の一部で、「お、もしかしたら大事なのはこれかもしれん!笑」というものを目にする。それは、自分が全く着目していなかったことである。というのは、男女平等の概念だ。

一体なぜ、サッカーに関わるというのだろうか。ここからは、男女平等の概念×サッカー繁栄 の関係性について少し説明。

 

ビルバオは強い女性社会

ビルバオという街は、スペイン・バスク地方にある人口約300,000人ほどの都市で、衣・食・住に関して特有の文化を持つ。

 

中でも、この都市ではなんと14世紀頃から法律で女性の権力を保証することを謳っている。今考えると当たり前だと感じるかもしれないが、こんな昔にどこの国にもそんな考え自体存在していないはずだ。具体的には、家の財産・所有権(土地も含む)や親権・夫婦の結婚・離婚の意思決定権なども含まれる。この結婚・離婚についてはもはや女尊男卑とも思えるほどだ。笑

 

だからおもしろい文化として、ビルバオバスク地方には「美食クラブ」という男だけで集って料理を作り、お酒と共にご飯を楽しむという結社がある。詳しい創立史は明らかではないが昔はそこに女性が入らなかったため、立場が弱い男性たちが秘密裏に集まって楽しんでいたのではないかと思われる。このように、生物学的な力の強さで男と女の権力が分かれていかなかったのが、このビルバオである。

 

②スポーツが女性にとって身近な存在

女性は家庭内で家を支える存在であったため、女性同士横にもつながり、やがてそれぞれ小さいコミュニティが出来上がっていった。そこで集う場所であったり、女性同士見て楽しむものであったのが、スポーツである。

 

バスク地方には、実はサッカー以外にもペロタという伝統的なスポーツもある。(素手で固めのゴム玉を壁に打ち合うスポーツ) 当時の様子が描かれた絵画や写真を見ると、そのスポーツ会場に男性と女性が同じくらいいることが分かる。

 

このように、ビルバオバスク地方の女性にとってスポーツは、うってつけの娯楽であったのである。

 

この特徴を見つけ、僕はここに絞って研究を進めていくことに決めた。女性がスポーツ文化を支えていたビルバオならではの特徴がもう少し見えてくれば、日本のスポーツ界に活かせる部分が出てくるかもしれない。ここまで悶々としていたものがほんの少し、晴れた気がした。

 

 

次回へ続く。